第140回 勝手に奈良検定
問題1 |
一本足の珍しいこの建物。どこに建っているでしょう。 1.葛城市 |
正解は、2の天理市。
まるでアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」に出てきそうな建物ですね。方1間のこの小さな建造物は、天理市の長岳寺の「五智堂(ごちどう)」といいます。といっても、楼閣や美しい庭園で知られる長岳寺の境内の中にあるのではなく、長岳寺から真西へ約1㎞離れた飛び地境内に建っています。古くから参詣に向かう人々の目印として親しまれてきた建物で、旅人の目印ともなっており、江戸時代の奈良の観光案内書『大和名所図会(ずえ)』には「傘塔」と書かれています。
俗称は真面堂(まめんどう)。いかにも小さく可愛らしい姿を想像させる名前ですが、心柱には太くて硬い、丸いケヤキ材が用いられ、上部四方の各面には梵字を刻んだ額が掲げられています。梵字は、東に阿しゅく如来、西に無量寿如来、南に宝生(ほうしょう)如来、北に不空成就如来が刻まれ、さらに心柱が大日如来を表わし、柱1本の小さな空間に、5体のみほとけを表現しています。万葉まほろば線の柳本駅からは北東に約400m。往時の旅人気分で歩いてみてはいかがでしょう。
問題2 |
次のうち、1つだけ仲間はずれのお祭りがあります。それはどれでしょう。 1.久延彦神社就学安全祈願祭 |
正解は、3の「春日若宮おん祭」。
まずは1つ1つお祭りを見ていきましょう。1の久延彦(くえひこ)神社就学安全祈願祭は、5月5日、子どもたちの成長や学力の向上、学業生活の安全を願って行われる祭り。祭神の久延毘古命(くえひこのみこと)は知恵の神さまとして知られます。2の「三枝祭(さいくさのまつり)」は、通称「ゆりまつり」。毎年6月17日、奈良市にある率川神社で行われます。大宝元年(701)の大宝令では国家的な祭祀と定められ、同じく鎮花祭(はなしずめのまつり)とともに、疫病鎮めのまつりとして重要視されました。
3の「春日若宮おん祭」は毎年12月15日~18日まで行われる春日大社若宮神社のお祭りです。長承年間に長雨による洪水、飢饉が続き、疫病が広がったため、保延元年(1135)に関白藤原忠通が若宮社を造営、翌年から祭礼を行ったのがおん祭の始まりです。4の「綱越神社例祭(おんぱら祭)」は、7月31日に行われる綱越神社の夏の例祭。「おんぱら」とは「お祓い」のことで、古式ゆかしい「神馬引き」や、茅の輪くぐりが行われます。夏を無病息災で過ごせるように祈る「夏越し」のお祭りです。これらの違いは、おん祭だけが春日大社の摂社若宮神社のお祭りで、あとはすべて大神神社の摂末社のお祭りだということ。ゆえに正解は、3となります。