葛城の道 ~風の森から奈良盆地展望の道を歩く~
掲載日:2014年2月28日
御所市のホームページには「葛城の道」というコースが紹介されています。「美しい日本の歩きたくなる道500選」にも選ばれ、全コースを歩けば約15km。風の森から名柄の町並みを経て、近鉄御所駅へ歩けば約10km程度で、自分の体力にあわせて歩くことができます。大阪から水越峠を越えて来る水越街道と、御所から風の森へと続く山麓をたどる名柄街道が交差する名柄地区には、今でも古い町並みが残ります。
近鉄大和八木駅~(バスで移動)~風の森~高鴨神社~住吉神社~高木神社~名柄の町並み~長柄神社~葛城一言主神社鳥居~近鉄御所駅(徒歩約4時間)
風の森のバス停から高鴨神社まではのどかな田園風景の中、雄大な金剛山を望みながらのウォーキングになります。高鴨神社は全国のカモ(鴨・賀茂・加茂)神社の総本社といわれ、かつて鴨氏という古代豪族がこの地方を支配していたことを思い出させてくれます。道沿いには「葛城の道」という道標が立てられているので道に迷うことはありませんが、新しい道が造られたことで、古い街道の面影は残されていません。
道標に導かれながら歩いて行くと、奈良盆地が見える場所に出ます。東には盆地に浮かぶ小島のように畝傍山が見え、西には金剛山や葛城山が見える展望の道です。山麓線と呼ばれている県道30号に出合う手前で高天彦神社への道と分岐しますが、そのまま進めば南北朝時代には楠木正成の祈願寺であり、立派な唐門が残されている吐田極楽寺です。寺から道を下っていくと古びた住吉神社が、さらに下ると歴史の深い面影の残る高木神社・春日神社があり、古い街道の面影を色濃く残した名柄の集落へ続いています。
名柄は宿場町として栄えた町です。江戸時代に造られた町屋や、造り酒屋、大正時代のレトロな郵便局が街道沿いに並び、町の中央には日本書紀にも登場する長柄神社が鎮座しています。神社は町の中にありながら、何本も巨木が境内に聳え、その歴史の深さを感じさせてくれます。神社の前の道が水越街道です。かつて多くの人がこの道を登り、峠を越えて大阪と行き交いました。
葛城の道に戻りさらに進んで行くと、レトロな醤油醸造所が見えてきます。その先には葛城一言主(かつらぎひとことぬし)神社の石の鳥居が街道の傍に聳えます。多くの参詣者がここから神社へと向かったことでしょう。道は鳥居から大きく東に曲がっていきます。「葛城の道」のコースは一言主神社を経て、九品寺、駒形大重(こまがたおおしげ)神社、鴨山口(かもやまぐち)神社へと進んで行きますが、街道は、途中に一言主神社の燈籠を道端に残し、ゆっくりと御所の町に向かって進んで行くのです。
街道は過去と現在の交差点です。新しく造られた道では出合えない歴史とふれあうことができる場所です。そしてそこに残っている神社や燈籠、道標は悠久の歴史の証人として今もそこに佇んでいます。
風の森神社の杜を望む | 神さびた高鴨神社 | 奈良盆地に浮かぶ畝傍山 | 住吉神社 |
名柄の歴史的な家屋 | レトロな元郵便局の建物 | 葛城山 | 街道沿いにある葛城一言主神社の鳥居 |
鴨の名のつく神社
高鴨神社を筆頭に鴨都波神社、鴨山口神社など「鴨」の名がつく神社が御所市内に多くあります。「鴨」は「加茂」でもあり、京都の上賀茂神社や下加茂神社との関係もあるようです。特に高鴨神社は風の森峠近くにあり、南側には雄大な吉野川と、遥か天川や十津川の山々を望み、西には金剛山が聳える風光明媚なところに造られています。御所から風の森を目指すと、登りがきつくなりますが、この高鴨神社からなら、ゆっくり御所に下ることができるのです。そして神社の横には「葛城の道歴史文化館」(月・火定休・入館無料)があり、「葛城の道」を歩く人々の拠点になっています。文化館の内部は古民家風の立派な柱や梁が印象的で、そば処も併設されています。
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