第136回 勝手に奈良検定
問題1 |
これ、奈良県のどこの山からの風景でしょう。 1.若草山 |
正解は、3の「高円山」。
奈良の市街地に接する高円山は、高さ426m。この山で毎年8月15日に行われるのが「奈良大文字送り火」。昭和35年からはじまった行事で、戦没者の霊を慰め世界平和を祈ります。20時、高円山に組まれた火床に点火され、東の空に大きく浮かび上がる「大」の字。祈りの心が込められた火は日本最大級の大きさで静かに長く燃え、奈良市内の至るところから、あるいは天理市内からでも目にすることができます。
この高円山のすぐ北にあるのが御蓋山です。春日大社に祀られる神が降り立った聖なる山で、美しい二等辺三角形をした、いわゆる「神奈備山(かんなびやま)」です。春日原始林はここから東へ深まっていきます。また写真(高円山)は大の字をつくる火床が並んでいるもので、周囲は防火のために草木が刈られていますが、御蓋山のさらに北に位置し、春から秋にかけて青々とした芝生が美しいのが若草山です。こちらは1月の第4土曜日に伝統行事である山焼きが行われています。夏と冬に、すぐ近くの山々に交互に火が点けられるのも面白いですね。葛城山は御所市に位置しロープウェイも通っています。春のツツジが有名ですが、冬には一転雪が積もり、雪遊びができる山として地元の人に親しまれています。
問題2 |
現在、奈良県にある博物館や研究所。次のうちお寺が母体となっているのは、どれ?ちなみに選択肢は略称です。 1.奈文研 |
正解は、2の「元文研」。
新聞で時折目にする「元文研」。何の略かわかりますか。実はこれ「元興寺文化財研究所」の略なんです。正式名称ならすぐ、お寺だとわかりますよね。お寺と文化財研究所の取り合わせは少し不思議ですが、元興寺文化財研究所は考古学の世界では文化財保存の最先端を行く民間の総合研究所として有名な機関です。もともと元興寺の境内地から出土した中世の庶民信仰の資料を調査研究、保存するため、当時の住職が研究機関を自ら設けたのがはじまり。教科書に必ず出てくる雄略天皇を表す「獲加多支鹵(ワカタケル)」の銘文(埼玉稲荷山古墳出土の鉄剣)も、元興寺文化財研究所がX線ラジオグラフィで発見したものです。
ちなみに他の名称は、おわかりですか?。1の「奈文研」は「奈良文化財研究所」。主に平城宮跡の発掘などを行う国の研究機関で、長屋王木簡の発掘などで知られます。3の「橿考研」は「奈良県立橿原考古学研究所」。奈良県の考古学を支える県立の調査研究機関で、出土品は隣接する附属博物館で見ることができます。美しい馬具や装飾品が出土した藤ノ木古墳の発掘などに携わっています。4の「奈良博」は「奈良国立博物館」。主に鎌倉期より前の仏教美術を収集・展示する国立博物館で、奈良の人は単に「博物館」とも呼んでいます。さすが奈良、一流の研究機関が集まっているんですね!