第129回 勝手に奈良検定
問題1 |
奈良市の北部に広がる巨大な古墳群。では、このなかで一番大きい古墳は次の中のどれでしょう。 1.ウワナベ古墳(写真左上) |
正解は、1の「ウワナベ古墳」。
3世紀の後半、桜井市の箸墓古墳から始まったとされる日本の古墳時代は、大きな前方後円墳に象徴される時代です。奈良県はいわば古墳の発祥の地。現在の桜井市から天理市にかけては、早い時代に造られた巨大で著名な古墳が並びます。しかし4世紀後半、古墳づくりは突如、奈良市の北部にその中心を移しました。それが佐紀古墳群(佐紀盾列〈たたなみ〉古墳群)です。平城山(ならやま)丘陵の南麓に広がる古墳群は、4世紀後半から5世紀にかけて築かれ、200mを超える前方後円墳7基のほか、中規模の前方後円墳など20基あまりがかたまって一大古墳群を形成しています。山のような古墳と古墳とがおりなす古墳の谷間の道は、散策には最高。なんといっても古代から変わらぬ道を歩くことができるのですから!
このなかでもっとも大きいのはウワナベ古墳(260m)。5世紀中頃の築造と考えられています。次いで宝来山古墳(=垂仁天皇陵、230m、5世紀初)、コナベ古墳(210m、5世紀前半)、佐紀陵山(みささぎやま)古墳(=日葉酢媛命陵〈ひばすひめのみことりょう〉、203m、4世紀末)の順に続きます。冬の早朝の古墳は、周濠から霧が立ち昇りとても幻想的に見えるときがあります。夏の青々とした古墳とはまた違う姿を楽しむことができます。
問題2 |
桜井市の大神神社の繞道祭(にょうどうさい)、宇陀市の陀々堂の鬼走り、奈良市の東大寺二月堂修二会(しゅにえ)、薬師寺の花会式(はなえしき)。さて、この4つの神事や法要に共通するものとはいったい何でしょう。 1.井戸から新たに水をくむこと |
正解は、2の「松明が神事や法要で用いられること」。
奈良の冬は寒さをついて行われる有名な神事や法要が盛りだくさん。新しい年の始まりを知らせる大神神社の繞道祭(にょうどうさい)から、終われば春が来るといわれる東大寺二月堂修二会(しゅにえ)まで、大きな行事が続きます。ここに挙げた4つに共通するのは、松明です。大小や使い方にさまざまな違いはあれども、いずれも夜間に勢いよく燃える松明を目の当たりにすることには変わりありません。ではそれぞれの選択肢を見てみましょう。1の井戸水をくむは、東大寺二月堂修二会の「お水取り」が当てはまります。3月13日の深夜1時半すぎ、二月堂下の井戸から、若狭から送られたという香水(こうずい)をくむ神聖な行事です。
2の松明については、繞道祭では新年に切られた火をもって、村々を松明を担いで練り歩きます。また鬼走りでは、3匹の鬼が松明を抱えてお堂の中で仁王立ちするのがクライマックス。お水取りでは連日二月堂の舞台に突き出される松明が最も知られます。花会式は結願の日、鬼が振り回す松明は勇壮さを通り越して恐怖をも覚える大迫力です。3でお札を燃やす行事は、関西では「とんど」といわれ、各所で目にします。御所市の吉祥草寺では「左義長(さぎちょう)」として知られます。4の散華は、仏教の法要では比較的多く目にするものです。二月堂修二会ではコメをはぜさせたものを、薬師寺の花会式では美しい絵が印刷された紙の散華がまかれ、堂内を清めます。新年のはじめ、春迎えの行事に、ぜひ足を運ばれてはいかがですか。