第125回 勝手に奈良検定
問題1 |
人の背丈をはるかに超える大きな作り物。さて、このあとどうなるでしょう? 1.弓矢を射込まれる |
正解は、4の担がれて火を付けられる。
随分と胴回りが太くずんぐりとしていますが、実はこれ、大きな大きな松明です。毎年8月15日、橿原市東坊城町の八幡神社と春日神社の二つの神社で行われる「ほうらんや火祭」で見ることができます。祭りの当日に町の人々が作る大松明は、大量のワラや竹笹などを、すだれ状に編んだ割り竹で巻き込んだもの。胴部の数か所を注連縄(しめなわ)で巻き、最上部の注連縄には幣(しで)を挟み込み、さらに正面に「えび」と呼ばれる太く短い注連縄を飾ります。
松明を担ぐのは、浴衣姿の男たち。最初は火を付けずに回りますが、2週目、拝殿の前で点火されると、松明はごうごうと勢いをつけて燃え上がり、境内を巡るうちに、お社や樹に燃え移ってしまうのではないかと心配になるほどの大迫力です。松明は、大きなものは直径1.5m、高さ3m、重さ450kg超。真夏の暑さも吹き飛ぶような、勇壮な真夏の火祭りです。
問題2 |
陶芸家としてはじめての人間国宝となった富本憲吉。彼が生み出した四弁花模様の元となった花は、次のどれでしょう。 1.アジサイ |
正解は、3のテイカカズラ。
富本憲吉(1886~1963)は、現在の生駒郡安堵町に生まれた陶芸家です。それまで九谷焼や有田焼など、各地の窯元での生産がほとんどだった焼き物の世界に、個人作家としてはじめて道を拓き、日本の近代陶芸の世界を大きく変えました。1955年には重要無形文化財保持者(人間国宝)にも認定されています。安堵町、東京、京都と住まいは変わりましたが、楽焼・白磁・染付などさまざまな焼き物に挑戦し、晩年京都で生み出した色絵金銀彩の磁器は色彩豊かで、いまも多くの人々に愛されています。
その色絵を強く印象づけるのが、富本が創出した模様でしょう。安堵町で作品を作っていた時代から自然観察を怠らず、動植物や風景をモチーフにさまざまな模様を生み出しました。徹底したスケッチからの模様の創造は、「模様から模様を造らず」という富本の有名な言葉に表れています。その生家にいまも生き続けるテイカカズラもその1つ。自然界では5弁花ですが、デザイン化する段階で花弁の数を4弁に減らし、連続する四弁花模様としました。連続模様としてはそのほか羊歯葉模様も知られています。模様と器形を追究し続けた富本の作品展は、生誕130年を記念して、2016年8月5日~9月25日、奈良県立美術館で開催されます。