第124回 勝手に奈良検定
問題1 |
ムクロジの木から竹が生えた面白い写真ですが、さて、このムクロジ、次のうち使われなかった用途とは、何でしょう? 1.鉛筆 |
正解は、1の鉛筆。
ムクロジはムクロジ科の落葉高木で、木の高さは15mほどにもなります。古くから日本人の生活に溶け込んできた植物ですが、なかでも石鹸のかわりとして用いられたことで知られます。直径2㎝ほどの大きな実は、11月ごろには黄色く熟し、その果皮がサポニンを含むため、水にさらしてこすると泡立つのです。そのため昔の人は石鹸を使うような井戸の回りなどにこの木を植え、代用としました。果皮がとれたあとの黒い実は、硬く重みもあり、数珠や羽根つきの玉に用いられました。
ちなみに写真のムクロジは、奈良国立博物館の西新館の西脇の道を、春日大社の参道へ向かって歩いていくと見ることができます。写真のとおりビックリするような姿なので、すぐにわかります。ぜひ探してみてくださいね。ちなみにこの竹は、博物館の敷地の方から伸びてきているのだそうです。
問題2 |
談山神社に唯一残る仏像の種類は、次のどれでしょう。 1.如意輪観音 |
正解は、1の如意輪観音。
桜井市多武峰の談山神社は、藤原鎌足を祭神とする古社です。もともとは妙楽寺と称する寺院で、天智天皇8年(669)、鎌足の墓所がこの地に移されたことにはじまります。その後、寺域には十三重塔や講堂などが建ち並びました。大宝元年(701)、鎌足の神像を方三丈の神殿に祀り、以後談山神社としての創祀もはじまっています。明治の廃仏毀釈で寺院を廃し、以後談山神社となりましたが、仏像や仏具などはこのとき散逸してしまいました。
この像の正式名は「談峯如意輪観音像」。談山神社に伝わる唯一の仏像で、鎌足の長男・定慧(じょうえ)が唐から持ち帰った像を鎌倉時代に写したものです。右足の甲にある傷は信者の身代わりになった傷と伝えられ、「足の観音様」として信仰を集めています。7月末日までの観音講まつりの期間中公開されています。
問題3 |
奈良国立博物館「なら仏像館」の入口にある丸い池。池に浮かぶ島のなかに建っているものは、さて、次のどれでしょう。 1.五輪塔 |
正解は、4の宝篋印塔。
なら仏像館前に展示されている宝篋印塔は、鎌倉時代、13世紀のものです。そもそも宝篋印塔とは、日本の中世を代表的する石塔の一種で、宝篋印陀羅尼(だらに)という経文を内部に納め、極楽往生や現世での救済を願うものでした。四角張った塔は全体を大日如来に見立てています。なら仏像館は2016年4月29日にリニューアルオープン。見学時はぜひ池の島にも注目してね!
五輪塔は仏塔の一種で墓石や供養塔として建てられました。仏教で宇宙を表す五大(地・水・火・風・空)を表現しています。須弥山石は、明日香村の石神遺跡から出土した噴水施設。外観や表面に彫られた山のような浮彫から仏教の須弥山にたとえられました。明日香村の飛鳥資料館でレプリカが見られます。春日灯篭は日本の灯篭の基本形ともいえる形で、笠と火袋が6角形をなし、鹿や三笠山などが彫られています。