第115回 勝手に奈良検定
問題1 |
この不思議な景観は、いったいどこでしょう。 1.鍋倉渓(なべくらけい) |
正解は、3の屯鶴峰(どんづるぼう)。
視界いっぱいに広がる白く深い谷や白い奇峰…。まるで白昼夢のような、不思議な地形が広がります。香芝市の屯鶴峰は、白い凝灰岩が鶴の群れのように見えることから名前がついたといわれる奇勝の地で、奈良県指定の天然記念物です。二上山の北麓、田尻峠から穴虫峠にかけて広がる広大な景観は、二上山の噴火や沈降した湖からの凝灰岩の露出など、太古の地殻変動によってつくられたもので、さらに長い年月の間に柔らかい部分が浸食され現在の地形ができあがりました。この地の凝灰岩は良質であることから、古墳の石室や石造物などの石材にも使われています。
鍋倉渓は山添村にある累々と岩が連なる地。芝崎の奇岩は五條市を流れる吉野川河岸の奇観。屏風岩は曽爾村にそそり立つ断崖です。いずれも自然の造形に圧倒されます。
問題2 |
正倉院に伝わる名香「蘭奢待(らんじゃたい)」。これを切り取ったといわれるのは誰でしょう。 1.平重衡 |
正解は、2の織田信長。
「蘭奢待(らんじゃたい)」は、正倉院に伝わる香木「黄熟香」(おうじゅくこう)のことです。東南アジア原産の沈香(じんこう)の一種で、同じ正倉院宝物の「全浅香(ぜんせんこう)」とともに類を見ないほどの巨大な香木です。蘭奢待の呼び名は鎌倉時代に付けられた雅号ですが、近年の調査では香りの成分はいまも安定して残っていることがわかっています。聖武天皇にゆかりの深い北倉に伝わった全浅香と異なり、蘭奢待は手が届きやすい中倉に伝わったため、香道が隆盛した中世以降、権力者たちが次々に切り取り、権力誇示の証しになりました。
記録からわかっている限りでは、寛正6年(1465)に足利義政、天正2年(1574)に織田信長が、また明治10年(1877)に明治天皇が切り取られており、38カ所もの切り取った痕跡のうち3カ所に、明治天皇、義政、信長の付箋が貼られています。
問題3 |
法隆寺が世界遺産に登録されたのは何年のことでしょうか。 1.平成5年(1993) |
正解は、1の平成5年(1993)。
人類が遺してきた貴重な文化や自然を保護し、未来へ伝えようと、昭和47年(1972)に第17回ユネスコ総会で採択された「世界遺産条約」。日本は平成4年(1992)にこれを批准し、翌5年、「法隆寺地域の仏教建造物」など計4件が、日本で初めて世界遺産に登録されました。「法隆寺地域の仏教建造物」は、法隆寺の建造物47件と法起寺三重塔から構成され、うち11件が現存する世界最古の木造建造物の1つとして評価されています。
奈良には他に「古都奈良の文化財」(平成10年)、「紀伊山地の霊場と参詣道」(平成16年、三重・奈良・和歌山)の2つの世界遺産があり、暫定リストには「飛鳥・藤原の宮都と関連資産群」が入っています。また「無形文化遺産」には、平成21年に奈良市の「題木立(だいもくたて)」が登録されました。