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勝手に奈良検定

第91回 勝手に奈良検定

問題1

この花で知られる奈良のお寺。ここにあった唐櫃に隠れて追っ手から難を逃れたという伝承のある人物とは、さて誰でしょう。

第91回 勝手に奈良検定

正解

正解は、護良親王(もりながしんのう/もりよししんのう)。

護良親王は建武の新政で知られる後醍醐天皇の皇子です。父の鎌倉幕府倒幕運動に協力し、熊野や吉野に潜伏、各地で戦を指揮しました。建武の新政下では征夷大将軍となりましたが、のちに天皇と対立し、鎌倉の幽閉先で殺されます。

写真の花はコスモスです。コスモスで知られる奈良のお寺といえば、奈良市の般若寺。京都と奈良との境に位置し、十三重石塔や楼門で名高いお寺です。『太平記』によれば、元弘元年(1331)、元弘の乱を起こした後醍醐天皇が笠置山でとらえられると、護良親王は般若寺へ逃げ込みました。そこへ北条方500騎が追ってきます。護良親王は機転を利かせ、経巻を入れた唐櫃に隠れ、敵の再度の探索も逃れて生き延びたのです。

現在唐櫃は本堂に置かれ、見学することができます。長さは108.2㎝、奥行74.5㎝、深さ64.5㎝。大の男が隠れるとなると、相当身を縮めないとなりません。奈良県の生んだ俳人・阿波野青畝(あわのせいほ)は、この唐櫃を題材に、「般若櫃 うつろの秋の ふかさかな」と詠んでいます。秋の花と石仏を訪ねながら、お出掛けになってみてはいかがでしょう。

問題2

『国家珍宝帳』『種々薬帳』『屏風花氈等帳』『大小王真跡帳』『藤原公真跡屏風帳』に記載される宮内庁管理の宝物といったら、さて何でしょう。

正解

正解は、正倉院宝物(しょうそういんほうもつ)。

問題に挙げた5つの文書は、東大寺大仏に献納された宝物を記載したリストで、その宝物が、正倉院宝物のおおもととなりました。それぞれ
(1)『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』
(2)『種々薬帳(しゅじゅやくちょう)』
(3)『屏風花氈等帳(びょうぶかせんとうちょう)』
(4)『大小王真跡帳(だいしょうおうしんせきちょう)』
(5)『藤原公真跡屏風帳(ふじわらこうしんせきびょうぶちょう)』
と読みます。

これらの宝物を大仏に献納したのは、東大寺や大仏を建造した聖武天皇の皇后、光明皇后でした。光明皇后は天平勝宝8歳(756)6月21日の天皇の七七忌(四十九日)に、まず(1)と(2)に書かれた品を大仏に献納し、続いて同年7月26日に(3)、天平宝字2年(758)6月1日に(4)、同年10月1日に(5)と、それぞれに記された品物を献納しました。それは聖武天皇遺愛の品であったり、薬であったり、あるいは光明皇后の父である藤原不比等の書を仕立てた屏風だったりとさまざまでした。これらは正倉院宝物のおおもととなった宝物ということで「帳内御物」と呼ばれます。現在これらの宝物は納められた当時の1/4ほどしか残っていません。

現在残されている正倉院(正倉院正倉)の建物は、3つに仕切られ、入口も3つあります。帳内宝物は正倉院の北倉に収められました。中倉には造東大寺司関係の文具や文書などが収められ、明治期に東大寺から献納された物も多く含まれています。また南倉には聖武天皇の法要関係品や、東大寺の儀式用品が収められました。2013年の正倉院展は10月26日(土)~11月11日(月)に奈良国立博物館で開催されます。

問題3

2013年の正倉院展には、「あるもの」の下に向かい合って立つ鹿と鹿を描いた屏風が出陳されます。正倉院宝物には、ほかにも羊や獅子などの動物が、同じように「あるもの」の下に向かい合って立つ構図がよく見られます。さて、この「あるもの」とは、いったい何でしょう。

正解

正解は、樹木。

動物が樹木の下に立つ構図は、「樹下聖獣文」と呼ばれ。正倉院宝物に数多く見られるモチーフの1つで、いかにもシルクロードの終着点、正倉院にふさわしい図柄です。今年出陳される「鹿草木夾纈屏風(しかくさききょうけちのびょうぶ)」は、Q2で紹介した『国家珍宝帳』に記載されている宝物で、聖武天皇が愛した品の1つでした。

樹木の下に動物を立たせた樹下聖獣文は、ペルシャに起源をもつものです。古代ペルシャには、恵みの雨を降らせる聖なる海があり、その海に育つ聖なる樹からは不死の薬が得られるという言い伝えがありました。樹の下に立つことは、すなわち繁栄を意味し、おめでたい文様として好まれたのです。ササン朝ペルシャの時代には、これをモチーフにしたものがたくさん作られました。

「鹿草木夾纈屏風(しかくさききょうけちのびょうぶ)」は、図柄はペルシャ風ですが、用いられている布から日本で作られたものであることがわかっています。図像は樹を中心に左右対称となっていますが、これは、文様を彫った板に半分に織った布を挟んで染める「夾纈技法(きょうけちぎほう)」で染めたためで、二つ折りの布を開くと左右対称の柄が染め上るのです。この技法は現在では絶え、正倉院宝物にしか見られないものとなっています。なお、正倉院について詳しく知りたい方は、米田雄介氏著『すぐわかる正倉院の美術―見方と歴史』(東京美術)がわかりやすくおすすめです。

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