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勝手に奈良検定

第82回 勝手に奈良検定

問題1

2013年は巳年です。では写真の蛇が祀られているお寺といえば、さて、どこでしょう。

第82回 勝手に奈良検定

正解

正解は、信貴山朝護孫子寺。

寅の年、寅の日、寅の刻に毘沙門天が出現し、その毘沙門天を祀る寺として創建された信貴山朝護孫子寺(生駒郡平群町)は、年末年始にはご利益を願う奈良や大阪の人々で賑わいます。山腹に建つ懸崖造りの本堂はよく知られますが、その本堂よりさらに高く、松永久秀の信貴山城のあったところに祀られるのが、空鉢護法堂です。この拝殿に石造の蛇「巳ーさん(みーさん)」が祀られています。

空鉢護法堂は、平安時代、命蓮上人が竜王の導きによって山頂に竜王の祠を建てたと伝わるものです。日本では蛇と竜の区別が曖昧なことが多く、ここでも竜王を祀るお堂でありながら、みーさんが祀られています。蛇の彫像をなでながら願いを念じると、一願を叶えてくれるといわれます。またなでれば悪いところがよくなるというみーさんもあります。

空鉢護法堂へは、朝護孫子寺山門から参道を進み、途中で山道へ入ります。道は地道ながら整備され、約20分ほどで護法堂に到着します。途中、みーさんの像が祀られていたり、奉納されたたくさんの朱塗の鳥居をくぐったりと、いろいろ楽しめる軽登山道です。空鉢護法堂に向かう前には、山道入り口にある水汲み場で、ポットに水を汲んで登ります。みーさんは水の護り神なので、山上へ着いたらこの水をみーさんにお供えするのがお参りの作法となっています。

問題2

奈良盆地には東西にわたって大きな蛇が横たわっているといわれ、蛇にゆかりのある3つの神社がそれぞれ頭、胴体、尻尾にあてられています。胴体は大和高田市の竜王宮、では頭と尻尾はそれぞれどこの神社だといわれているでしょうか。

正解

正解は、頭が大神神社、尻尾が長尾神社。

桜井市の大神神社、大和高田市の竜王宮、葛城市の長尾神社は、奈良盆地を東西に横切る初瀬街道、横大路、竹ノ内街道に沿うように鎮座しています。それぞれ交通の要衝にあたり、その位置関係が蛇にたとえられました。

伝承によればその昔、奈良盆地には大きな蛇がおり、三輪山を三重に取り巻いていました。その頭は三輪山にあったといいます。三輪山は大神神社のご神体です。胴体は竜王宮(石園坐多久虫玉神社:いわぞのにいますたくむしたまじんじゃ)にありました。大神神社からは西南西にあたります。さらに竜王宮のほぼ真西に、尻尾があったという長尾神社が位置しています。この蛇の長さを地図で割り出してみると、実に約15kmもの巨大な蛇の姿が浮かび上がります。大和国は巨大な蛇に守護されていたと、古代の人は考えていたのです。

この3社とも、蛇あるいは龍と密接なつながりがあります。大神神社のご神体三輪山は蛇がとぐろを巻いた姿であるとされ、境内には「巳の神杉」が祀られています。木の根元の大きな”うろ”にはみーさんが棲むといわれ、うろの前にはお供え物の卵が置かれます。龍王宮は祈雨の神、農耕の神として知られます。龍は水を司り、蛇もまた水が流れるような動きと害鳥などを駆除してくれることから、水の神、農業の神と考えられてきました。また長尾神社には、水の神である水光姫(みひかひめのみこと)が祀られますが、その姿は白い蛇であるといいます。境内にはこの神を封じた井戸の跡があり、動かすと大和盆地が水に沈むといわれています。

問題3

奈良市喜光寺の池の中にあるお堂には、蛇の姿をした宇賀神が祀られます。この神と同一視され、普段は”お前立ち”として宇賀神の厨子の前に安置されている神様は、さて誰でしょう。ヒントは「池の中のお堂」です。

正解

正解は、弁財天。

喜光寺は、養老5年(721)に、行基によって創建された古刹です。本堂は行基が大仏殿建立の参考にしたと伝え、通称「試みの大仏殿」として、いまも均整のとれた建築美をみせてくれます。また蓮のお寺としても知られ、6月下旬から8月上旬には、境内を清らかな大輪の蓮が彩ります。

その本堂の北側の池の中に建つのが弁天堂です。ここには七福神のうち唯一の女性の神である弁財天(弁才天)が祀られています。弁財天が池や泉、川、島などにゆかりのある場所に祀られることが多いのは、もともと弁財天がヒンズー教の川の神であることにちなみます。川のせせらぎの音から、弁財天は音楽の神、芸能の神としても知られています。また水の神であることから、日本では水を司る蛇や龍に通じ、中世以降、人頭蛇身の宇賀神(うがじん)と習合し、宇賀弁財天として祀られるようにもなりました。

喜光寺弁天堂に祀られる宇賀神は秘仏で、毎年7月の暁天講座のときに開帳されます。白髭を生やした翁の顔に、とぐろを巻いた蛇の姿は非常に印象的です。開帳時以外は宇賀神の厨子の前にお前立ちとして祀られた弁財天をお参りすることになります。しかしよく見ると、弁財天の頭の上には小さな鳥居が載り、鳥居の向こうに人頭蛇身の小さな小さな宇賀神像が祀られていることに気づきます。本体は拝せなくとも、この弁財天が宇賀神そのものであることを示しているのです。2013年は巳年にちなみ、1月1日~3日も、特別に宇賀神が開帳されます。

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