第77回 勝手に奈良検定
問題1 |
毎年8月の2日間にわたって行われるこのお寺の地蔵会(じぞうえ)。境内の浮図田(ふとでん)に置かれたたくさんの灯明のあかりは晩夏の奈良の風物詩となっています。さて、このお寺はどこでしょう。 |
正解は、 元興寺。
猿沢池の南、ならまちにある元興寺は、蘇我馬子が創建した法興寺をはじまりとする古刹です。極楽堂(曼荼羅堂)の屋根には飛鳥時代の瓦が葺かれ、古き時代を偲ばせてくれます。
境内にはたくさんの石仏や石塔をまとめた浮図田(ふとでん)があり、8月の地蔵会のころは、紫の桔梗の花が彩りを添えます。夕刻5時から極楽堂(曼荼羅堂)で法要が行われ、浮図田でも祈りがささげられると、参拝者は思い思いの願いを書いた灯明皿を、石仏の前に供えます。
日も暮れて、点々と炎が揺れる浮図田はまさに灯りの海。幻想的で、どこか郷愁を誘う夏の夕べです。また極楽堂(曼荼羅堂)では、奈良県の著名な人々の筆による行灯を一堂に並べ、献灯会が行われます。境内には夜店も並び、秋の訪れを目前に控えた夏祭りは、毎年大勢の人でにぎわいます。
問題2 |
冷たい水が恋しい夏。では奈良県で唯一、「水の郷百選」に選ばれている市町村といえば、さてどこでしょう。 |
正解は、天川村。
「水の郷百選」は、国土交通省の認定によるもので、優れた水資源に恵まれ、水をめぐる歴史・文化が残り、水と人との密接なつながりが今も見られる全国107地域が選ばれています。
紀伊半島中央部に位置する天川村は、八経ヶ岳や大峯山(山上ヶ岳)など、世界遺産にも登録される山々を背後に控えた自然の魅力いっぱいの村。雨も多く、村を流れる清流は、1年を通じて枯れることがありません。天河大弁財天社や龍泉寺など、水や水を司る神々を祀る古社寺も、大切に守られてきました。
天川村は避暑地としても格好の地。みたらいの滝めぐりで水しぶきを浴びたり、地底に広がる鍾乳洞で冷んやりした空気を味わったりと、楽しみ方はいろいろ。さらに名水「ごろごろ水」で入れた名水コーヒーや、名水とうふを味わえば、身も心もすっきり。各キャンプ場では魚のつかみ取り体験なども行われ、夏休みに親子で楽しむのにも最適です。節電の夏、水の村・天川に遊びに出かけてみませんか。
問題3 |
高野山にほど近い県境の村、吉野郡野迫川(のせがわ)村で、1年のうち8月の早朝にもっともよく見られる村自慢の自然現象とは、さて何でしょう。 |
正解は、雲海。
奈良県の南西部に位置する野迫川村は、和歌山県と接する県境の村。北西には信仰の山・高野山があります。村の海抜は最高1344m、最低400mと標高が高く、また幾重にも切り立つ山々に囲まれ、夏も非常に涼しく避暑地として知られます。
雲海は、周囲を山に囲まれた盆地などに発生しやすい自然現象。条件としては、前日が温かく雨や河川の蒸発などによる適度な湿気があること、夜間に急激に冷えこむこと、翌朝が晴れた無風状態であることなどが挙げられますが、野迫川村はそういった条件が比較的重なりやすいところといえるでしょう。
一般に季節の変わり目によく見られる雲海ですが、野迫川村では8月にもっともよく見られます。早朝のドライブなら、村内を走る県道733号や734号の高みからが最適。絶景ポイントには看板も立っています。また弘法大師が創建したと伝わる日本三荒神社の1つで、荒神岳山頂に鎮座する立里荒神社(たてりこうじんしゃ)からの眺めも絶景です。運が良ければ雲海を赤く染めて昇る朝日を拝むことができます。