第46回 勝手に奈良検定
問題1 |
1月14日夜、五條市のこのお寺に伝わる修正会(しゅしょうえ)は、室町時代から500年以上も続く除災招福の火祭りとしても知られます。何と呼ばれるお祭りでしょうか。 |
正解は陀々堂の鬼走り。
五條市にある念仏寺陀々堂の鬼走りは500年もの伝統を誇る炎の祭典。過去の罪を悔い、身に積もった汚れを祓う修正会の結願(けちがん)として行われます。午後から行われる大般若経転読と昼の鬼走り、福餅まきに引き続き、午後9時から鬼走りが始まります。
まずカタンカタンという板壁を叩く音とともに、火天役(かってやく)による「火伏せの行」が始まります。水天役(かわせやく)は笹竹で水を掛けて火を消して回ります。これは、火と水を聖なるものとする古代中国から伝えられた達陀(だったん)の行法です。法螺貝と太鼓の音が響き渡る中、約60kgの燃えさかるたいまつを振りかざし、右手に斧を持った赤鬼(父鬼)が走り出ます。次に青鬼(母鬼)と茶鬼(子鬼)も現われ、3つのたいまつがお堂を焼き尽くさんばかりに豪快に走り回ります。
念仏寺の鬼は「鬼は外」と追い払われる鬼でなく、災厄を払い、悪霊をしりぞける鬼。いわば福を招き入れる祖霊神です。平成7年に国の重要無形民俗文化財に指定されています。
問題2 |
いよいよ開幕となった平城遷都1300年祭。この記念事業のシンボルマークには仏の手を表す「印相」(いんぞう)が使われています。何という印でしょうか。 |
正解は施無畏印(せむいいん)。
「はじまりの奈良、めぐる感動。」がテーマの平城遷都1300年祭。2010年1月1日から12月31日を会期とし、第一次大極殿正殿が復原された平城宮跡を中心会場に、県内各地で多彩なイベントが開催されます(平城宮跡会場は4月24日~11月7日)。話題のマスコットキャラクター「せんとくん」はあちらこちらでひっぱりだこですが、このイベントのシンボルマークは「施無畏印」です。
古代インドでは自分の気持ちを手の形で表す習慣があり、仏の意志を表すものとして様々な「印相」が生み出されてきました。阿弥陀如来は九品の弥陀(くほんのみだ)といい、輪を作る指と、手の位置をそれぞれ3種類組み合わせた9種類の印で表します。施無畏印(せむいいん)は、右手の指をまっすぐ揃え、てのひらを正面に向けて、「おそれなくていいよ」と人々を安心させる気持ちを表しています。
このシンボルマークは、1300年の時をつむいできた歴史の手、ロマンと慈愛を伝える手として、平城京を訪れる多くの人々を招き入れるwelcome handとなることでしょう。
問題3 |
明日香村にあるこの古墳には、今年の干支「寅」をはじめとした十二支像が描かれています。何という名前の古墳でしょうか。 |
正解はキトラ古墳。
キトラ古墳で壁画が発見されたのは昭和58(1983)年のこと。キトラ古墳は7世紀末~8世紀初めに造られた直径13.8mほどの円墳です。四壁には玄武(北壁)、白虎(西壁)、青龍(東壁)、朱雀(南壁)、十二支像が確認されており、天井には赤道や星座を配置した天文図などが見られます。しかし劣化が激しく、保存のための壁画剥ぎ取りの措置がとられています。
十二支像は、頭が動物、身体は人間の獣頭人身像です。現在確認されている6体のうち一番鮮明に残っているのが「寅」。身長14cmほどの小さな壁画で、牙はなく、矛を持ち、ワンピースのような長い衣を着ています。特にV字形の襟の朱色は鮮明で、目を見開き、口をあんぐりと開けた姿はどこかユーモラス。これら十二支像は武器を手にしていることから、守護神的な役目もあったのではないかといわれています。