第18回 勝手に奈良検定
問題1 |
現存では最古の三重塔の遺構といわれるこの美しい塔のあるお寺は、何という名前のお寺でしょう。 |
正解は「法起寺(ほうきじ)」。
法起寺は、聖徳太子の遺命によって、山背大兄王(やましろのおおえのおう)が太子の宮であった岡本宮を寺にしたものと伝えられています。兵火等によって荒廃が進み、江戸時代に残っていたのは三重塔だけでしたが、真政圓忍(しんせいえんにん)律師の発願によって本堂、聖天堂が建てられました。
伽藍配置は塔を東に金堂を西におく法起寺式で、法隆寺とは塔と金堂の位置が逆となっています。高さ約24mの三重塔は、天武天皇14(685)年に起工、慶雲3(706)年に竣工されました。国内では最古最大の三重塔です。雲斗(くもと)・雲肘木(くもひじき)、エンタシスのある柱、深くて勾配のゆるやかな屋根などは、法隆寺五重塔に通じるものがあります。
問題2 |
なだらかなススキの原が広がる曽爾(そに)高原と対照的に、荒々しい景観を見せる「曽爾三山」といえば、屏風岩(びょうぶいわ)・兜岳(かぶとだけ)ともう一つは何という山でしょう。 |
正解は「鎧岳(よろいだけ)」。
曽爾高原は、春から夏は緑のじゅうたんが、秋には一面にススキの原が広がるなだらかなスロープの高原ですが、青蓮寺川(しょうれんじがわ)を挟んで曽爾高原の対岸にそびえるのが、屏風岩、兜岳、鎧岳といった奇岩群です。室生火山群の活動がつくりだした山で、柱状節理のダイナミックな大岩壁となっています。いずれも独特の個性ある形をなしており、鎧岳の山麓にはヒダリマキガヤの巨樹林群落があります。
問題3 |
和辻哲郎が『古寺巡礼』のなかで、観音菩薩では天下随一の名作とたとえた像は、何というお寺の、何という名前の観音でしょう。 |
正解は「聖林寺」の「十一面観音像」。
聖林寺は、藤原鎌足の長子定慧(じょうえ)が創立したといわれています。本尊は石造彩色子安延命地蔵菩薩で、安産・子授けの地蔵として知られています。十一面観音像は、大神神社(おおみわじんじゃ)の神宮寺であった大御輪寺(だいごりんじ)の本尊でしたが、廃仏毀釈後、当寺に移されました。木心乾漆で高さ約196cm、左手に蓮華を挿した華瓶(けびょう)を持ち、流麗な衣文(えもん)、抑揚と調和のとれた姿は、天平時代後期の代表的な仏像といわれています。