第14回 勝手に奈良検定
問題1 |
春日大社の朱塗りの南門を背景に咲くこの花は、何と呼ばれているでしょう。 |
正解は砂ずりの藤。
「藤の花は房が長く、紫色があざやかなほど見ごたえがある」と清少納言が『枕草子』で書いたように、かつては高貴な人にだけ許されていたという紫色。その色を、藤原氏は一門の栄華の象徴として特に愛しました。
藤原氏ゆかりの春日大社の社殿には藤の花が随所に見られますが、南門を入った左手(西側回廊の東側)に「砂ずりの藤」があり、樹齢およそ700年以上にもなるといわれています。五月上旬の風薫る頃、藤棚から長い花房が地面に届かんばかりに垂れ下がります。
問題2 |
浄瑠璃「壷坂霊験記(つぼさかれいげんき)」で知られる壷阪寺の本尊は何でしょう。 |
正解は十一面千手千眼観世音菩薩。
壷阪寺は703年、元興寺の弁基上人によって開かれた霊山で、吉野に隣接する高取山の険しい山の中にあります。現在は西国三十三カ所霊場の第六番札所となっています。世話物浄瑠璃「壷坂霊験記」で、盲目の沢市とその眼を治そうとする献身的な妻お里が通い詰めたのが、壷阪寺の十一面千手千眼観世音菩薩。古くからの人々の広い信仰を集めた寺には、眼病平癒祈願に、今も多くの参詣者が訪れます。
問題3 |
標高1719mの山上ヶ岳に建立されている、大峯修験道の根本道場は何というお寺でしょう。 |
正解は大峯山寺(おおみねさんじ)。
この山上に寺が建てられたのは、修験道の開祖といわれる役行者が金剛蔵王権現を感得し、山上に祀ったことに始まるといわれています。本堂は山頂にある木造建築としては日本最大級といわれ、現在も女人禁制を守る霊場となっています。宇多天皇や藤原道長などの参詣から、白河上皇の御幸で絶頂に達した「御嶽詣り」は修験者の修行と信仰に支えられてきています。5月3日の戸開式は午前3時に鍵渡しの儀式をしてから鍵をもつ信者が練り歩き、夜明けとともに本堂の戸を開けます。戸閉式は9月23日です。