第13回 勝手に奈良検定
問題1 |
東大寺知足院に咲くこの桜、さて何という桜でしょう。 |
正解はナラノヤエザクラ。
「いにしへの ならのみやこの 八重桜 けふ九重に 匂ひぬるかな」奈良の八重桜を世に知らしめた、伊勢大輔の古歌。奈良で桜といえば「奈良の八重桜」が筆頭にあげられますが、意外にもこの名花は、奈良の人にさえ余り知られていないようです。大正11年の春、植物学の権威、三好学博士が、東大寺知足院の裏山崖上で発見しました。
この八重桜は花径約3cm、蕾が紅く、咲くと白くなり、散るころに再び紅くなる色変わりの品種で、花弁の大きい一般の八重桜に比べて、清楚な品の良さがあり、天然記念物にも指定されています。今はその桜の子どもたちが、若草山山麓や県庁付近でも白く可憐な八重を咲かせています。
問題2 |
日本全国にある「かも」の地名発祥地とされる高鴨神社。その境内で4月中旬から5月初旬にかけて500種2200鉢を越えて咲く花とは、何でしょう。 |
正解は日本サクラソウ。
金剛・葛城山麓は古代の大豪族、鴨族の発祥の地で、その鴨族を守護神として祀ったのが高鴨神社です。京都の上賀茂神社、下鴨神社をはじめ、全国に分布している多数の鴨神社の総社となっています。
桜前線が大和路を駆けぬけた頃、日本サクラソウの鉢が500種2200鉢以上も並びます。高鴨神社は知る人ぞ知る日本サクラソウの一大蒐集栽培地。深い杉木立の中の神域は、森閑として昼もほの暗いほどですが、4月中旬から5月初旬にかけては、可憐な日本サクラソウが咲き、にわかに華やぎます。境内によしず張りの展示場が作られ、「緋の袴」「吹上桜」「三保の古事」といったみやびやかな品種が古式作法のままに飾られます。
問題3 |
三島由紀夫の「豊穣の海」の舞台になった円照寺。中宮寺・法華寺とともに大和の三門跡尼寺(さんもんぜきにじ)に数えられるこの寺に伝わる華道の流派は何と呼ばれているでしょう。 |
正解は山村御流(やまむらごりゅう)。
「日出る処の天子…」で始まる書状を持ち、遣隋使として海を渡った小野妹子は隋で目にした生花の素晴らしさを聖徳太子に伝え、日本での生け花の源流が始まったといわれています。
大和を代表する華道には七流派あるといわれていますが、その一つがこの山村御流です。円照寺は江戸時代初め、後水尾(ごみずのお)天皇の第一皇女文智(ぶんち)女王が入られ、門跡寺となりましたが、後水尾天皇も文智女王も非常に花が好きであったことから、献花法要が盛んとなり、一流派を築いていきました。山村御流には決まった型がなく、花の本数も生け方も自由。野にある自然をそのままに、そして何より色彩を重視し、「品・性・美」を旨としています。