第11回 勝手に奈良検定
問題1 |
写真のこの方は、さてどこの誰でしょう。 |
正解は東大寺南大門の金剛力士像(仁王像)の阿形像です。
鎌倉時代、俊乗坊重源によって復興された南大門は、大仏様(だいぶつよう)と呼ばれる建築様式の建造物。水平材を多く用い堅固な構造をつくっていること、その構造をそのまま見せていることが特徴です。
その左右に立っているのが、それぞれ高さ8.4mの木造金剛力士像です。南大門の中に安置され、左右向かい合って立っており、大仏殿に向かって左側が阿形(あぎょう、口を開いた像)、右側が吽形(うんぎょう、口を閉じた像)、面白いことに阿形と吽形の左右が通常とは逆の位置です。1988年からの解体修理の際に、像内から納入品や墨書が数多くみつかり、運慶、快慶、定覚らの仏師によってつくられたことが明らかになっています。
問題2 |
大きな張り子の虎が迎えてくれる平群町にあるお寺といったら、さてどこでしょう。 |
正解は信貴山朝護孫子寺。
信貴山朝護孫子寺は、奈良盆地の西に連なる信貴山南東に位置し、本堂や多宝塔など大小の伽藍(がらん)が建ち並ぶ大きな寺院です。国宝である「信貴山縁起絵巻」が伝わる寺としてもよく知られています。寺伝では、聖徳太子がこの山で多門天(毘沙門天)を感得し、自らその像を彫刻、「信ずべき貴ぶべき山」として「信貴山」と名付け、寺院を建立したといいます。
織田信長の焼き討ちにあうなど、幾多の焼失の憂き目を見てきましたが、現在、本尊の毘沙門天をまつる本堂は1958年に再興されたもの。舞台造りの堅固な建物からは、奈良盆地が一望できます。
ところでなぜ虎なのかといえば、毘沙門天が、寅の年・寅の月・寅の日・寅の刻に出現したということから、虎が寺の象徴になっているから。境内ではいたるところで「虎」の姿をみかけます。商売繁盛、家内安全、開運長久の神として、多くの人の信仰を集めています。
問題3 |
2月11日の砂かけ祭りで知られる河合町の神社といったら、さてどこでしょう。 |
正解は広瀬神社。
広瀬神社の建つ地は、飛鳥川や竜田川など、大和平野を流れる多くの川が合流し、古くから河川の氾濫や干ばつに苦しんできたところです。そのため、広瀬神社は水の神として、またこの地の農業の守り神として信仰を集めてきました。
砂かけ祭りとして知られるお田植え祭(おんだ祭り)は、拝殿でのお田植え神事が終わった後、牛役や田人(たびと)などが太鼓の音を合図に、見物人にいっせいに砂をかけるというもの。ここでかけられる砂は、実は雨に見立てたもので、五穀豊穣や厄よけ祈願、そして田畑に恵みの雨を降らせてくれることを祈って行われます。問答無用の豪快な砂かけが行われますので、見学の際には、カメラにはビニール、砂よけのカッパを着ているといいかもしれません。