第7回 勝手に奈良検定
問題1 |
小さな社の横にはなんと石のお供えもち!毎年4月には全国のお菓子屋さんが集まって例大祭が行われるこの神社は、さて何神社? |
正解は林神社(りんじんじゃ)。
奈良市の漢国(かんごう)神社の境内に鎮座するお社だ。毎年4月19日に行われる例大祭は、「饅頭祭り」と呼ばれている。なぜならこの神社にまつられているのは、日本に初めて饅頭を伝えたという林浄因命(りんじょういんのみこと)。中国から貞和5(1349)年に来日し、故国の味、中に「あん」の入った饅頭を伝えた。
饅頭祭りのときには、ふだんは静かな境内も大勢の人であふれかえらんばかり。参拝者には、紅白の「すあま」が配られる。また境内入り口では饅頭をはじめとするお菓子も売られ、桜の花びらが舞うなか、甘い香りがあたりに漂う。
問題2 |
當麻(たいま)に伝わる中将姫伝説。その不思議な伝説は、能や歌舞伎、御伽草子(おとぎぞうし)にいたるまで、芸能や文学のかっこうの題材になってきました。ところで時代は下り昭和に入って、この伝説を題材に、深遠な哲学小説を発表した学者がいます。その著者とはいったい誰?そしてその小説のタイトルはなんでしょう? |
正解は折口信夫(おりくちしのぶ)の『死者の書』。
民俗学者、国文学者の折口信夫(1887~1953)年は、釋迢空(しゃくちょうくう)の号で知られる歌人でもある。『死者の書』は昭和14(1939)年に「日本評論」に掲載され、その後大きく筆を加えられて、1943年に出版された。埋葬された大津皇子(おおつのみこ)のめざめから始まり、やがて藤原南家の郎女(いらつめ)との間にはじまる時空を超えた交感の物語。難解だが、冒頭の、死者である大津皇子のめざめの場面は、なんともいえず幻想的だ。秋の夜長にトライしてみては?
問題3 |
1986年、平城京の長屋王邸宅跡から出土した、10万点にのぼる膨大な枚数の木簡。そこには当時の暮らしをほうふつとさせるさまざまなことがらが書かれています。さて、この中からみつかった「加須津毛」と書かれた1枚。現在も奈良といえば思い浮かぶあるもののルーツと考えられています。さて、その「もの」とはいったいなんでしょう? |
正解は奈良漬。
「加須津毛瓜(かすづけうり)」の文字は、「漬物を送ります」という内容の、送り状とでもいうべき木簡に書かれていた。同じ木簡からは、他にもナスの粕漬けと、瓜・みょうがのひしお漬けも送られたことがわかる。ここでいう粕漬けとは、当時飲まれていたどろどろとした濁り酒の中に、塩漬けにした野菜をさらに漬け込んだものと考えられており、まさに奈良漬のルーツといえるもの。長屋王が食したかどうかは定かでないが、奈良漬はまさに1300年の味といえるだろう。