第6回 勝手に奈良検定
問題1 |
真っ赤な月と、それを映す池。ところでこの写真、レンズを左へ向けていくと、あるお寺が現れます。大和路といえばすぐに名前が思い浮かぶ、あの写真家も愛したあの風景…。さてそのお寺とはいったいどこでしょう? |
正解は薬師寺。
手前の大きな池はまさにその通り「大池」(勝間田池)。大和路を四季折々、暖かなまなざしで撮り続けたことで知られる故入江泰吉は、この大池からみた薬師寺の四季も多数残している。この池は、近鉄西ノ京駅から南西へ約1km。池越しに東塔と西塔が両方見られるとあって、タクシーに案内されてくる観光客も多い。
ライトアップされた薬師寺は、境内から見る機会はなかなか少ないため、どうしても少し離れたところから見ることになる。車や電車に気をつけて、ご近所の迷惑にならないように、自分だけの“観塔”ポイントを探してみるのいいかもしれません。
問題2 |
うるわしい姿なら宇治の平等院、しぶ~い歌声なら近江の園城寺(三井寺)、でも威勢のよさならこの人しかいない、と言われる奈良の太郎さんとは、さて誰のことでしょう? |
正解は、東大寺の梵鐘。
「勢いは奈良の東大寺、形は宇治の平等院、声は近江の園城寺(おんじょうじ)」と言われ、日本三名鐘のひとつに数えられ、「奈良太郎」の名で親しまれてきた。鋳造は752年と言われており、現在、鐘、鐘楼とも国宝。口径2.766m、高さ3.86m、重さ26.3t。音色は豪快かつ荘厳で、長く響くことで知られ、室町時代には南都八景の一つにあげられている。
その音色は、今でも毎日夜8時と、大きな法会(ほうえ)が始まる30分前に聞くことができ、また元旦にお参りすれば、参詣者もつくことができる。天平の音色を、一度耳にされてみてはいかが?
問題3 |
万葉集「道の辺の壱師(いちし)の花のいちしろく皆人知りぬ我が恋妻は」と妻の美しさを詠んだ歌でも知られる“壱師(いちし)の花”とは、さて何の花?9月の中頃、田んぼのあぜや土手に赤い花を咲かせます。 |
正解は彼岸花。
「壱師(いちし)の花」にはいろいろな説があるが、ほとんどの場合、彼岸花だと考えられている。歌の意味は「道ばたに咲く彼岸花のように、彼女はとても目立ってしまう存在。あそこに彼岸花が咲いているよと人が指さすように、わたしの恋妻は人に知られてしまった」というもの。彼女は周囲には内緒にしていた妻か恋人のこと。
万葉集には、人の噂を気にするような恋の歌がたくさんある。この歌の作者はわからないが、「隠していたのが発覚してしまった、困ったな」と困惑すると同時に、どこかそれが嬉しくもあるような、詠んだ人の人間らしさが感じられる歌でもある。