第148回 勝手に奈良検定
問題1 |
平成30年10月に落慶する興福寺伽藍の建物の名称は? 1.東金堂 |
正解は、4の「中金堂」。
興福寺には金堂が3棟あり、その中心となるのが「中金堂」です。藤原不比等が創建し、和銅7年(714)に完成したとされます。堂内には、本尊・釈迦丈六仏像、脇侍菩薩4体、四天王像、弥勒浄土像2体が安置されていました。興福寺は日本の数ある寺社のなかでもっとも火災が多く発生していますが、中金堂はこれまで7回もの再建が成されています。最初の再建は平安時代の永承3年(1048)で、北円堂を除き全焼した興福寺を1年3ヵ月という驚異的な早さで再建しました。当時の朝廷が臨時の役所を設置し、近江国(滋賀県)、丹波国(京都府)など全部で7つの国に造営を命じて費用を負担してもらいました。その後7回目までの再建は、藤原摂関家の力が衰えたことや、世の中の変化から資金繰りに苦しむこともありましたが、時間をかけて資金調達をし、再建に至っています。
江戸時代に再建された7回目の中金堂は、本来の規模よりも一回り小さい仮堂で、明治維新後の明治4年(1871)に国に没収され、警察署や県庁・郡役所として使われました。その後の明治16年(1883)に返還され、中金堂としての役割を長らくのあいだ果たします。昭和50年(1975)には老朽化により中金堂北の講堂跡に仮講堂を建て、本尊などを移しました。平成22年(2010)には興福寺が創建1300年を迎え、中金堂再建事業が本格的にスタートします。創建当初の姿(東西36.6m、南北23m、最高高21.2m、寄せ棟造、二重屋根、裳階付きで桁行(東西)9間、梁行(南北)6間)に復元することを目指し、発掘調査の結果や残された史料をもとに、日本建築の伝統的な木工技法を踏襲した工法で工事が行われました。落慶法要は平成30年10月7日から11日にかけて行われ、20日から一般拝観できます。
問題2 |
奈良で「盆踊りの踊り納め」といわれる盆踊りが行われるのはどこでしょう? 1.霊山寺 |
正解は、2の「東大寺」。
東大寺二月堂で毎年9月17日に行われる「二月堂十七夜盆踊り」は、平成5年(1993)に復興した行事で、二月堂の広場で行われます。旧暦の8月17日にあたるこの日は「十七夜」と呼ばれ、古くから日本各地の観音霊場で特別な法要や行事が行われてきました。当日は早朝から20時頃まで二月堂本堂内に万松明が灯され、夕方には二月堂参道の石燈籠に火が灯されます。二月堂本堂の周辺には願いが書かれた灯篭が置かれ、辺り一帯が温かな灯りに包まれます。18時から二月堂本堂で法要が営まれた後、18時30分から21時頃まで盆踊りが行われます。盆踊りは誰でも自由に参加することができます。河内音頭や江州音頭が鳴り響き、多くの人々が練り踊る姿は普段の二月堂と様子が大きく異なり印象的です。
このほかの選択肢でも盆踊りが行われています。霊山寺では8月下旬に浜の江州音頭による「盆踊り」が行われ、年々参加者が増えています。同じく8月下旬に行われる「安堵町ふれあい盆踊り大会」では江州音頭・河内音頭が歌われ、打ち上げ花火も楽しめます。十津川村で8月中旬に行われる盆踊りのなかでも、小原・武蔵・西川の3地区で行われる「十津川の大踊」は、室町時代に流行した風流踊りの流れを汲んでいます。国の重要無形民俗文化財に指定されており、3日間にわたって各地区でそれぞれ特徴のある踊りが見られますよ。