第146回 勝手に奈良検定
問題1 |
懐かしさが漂う木造の校舎。ここはどこでしょうか。 1.宇陀市・旧宇太小学校 |
正解は、2の「天川村・旧天川西小学校」。
天川村の旧天川西小学校は、明治時代に建てられた和田小学校が前進です。小学校のある和田地区には天和鉱山があり、関西の経済界を立て直し「鉱山王」とも呼ばれた五代友厚(1836~1885)が最初に鉱山経営を手がけた場所です。鉱山が栄えた和田地区はその間人口も増加し、五代は自らの財産を投じて和田小学校を支えました。現在の立派な木造校舎は、昭和18年(1943)に地域の人々の無償提供と労働奉仕によって造られました。平成14年(2002)に多くの人に偲ばれながら閉校しますが、地域の有志によって平成28年(2016)都市市民との交流の場「てんかわ天和の里」として生まれ変わりました。
「てんかわ天和の里」は、旧天川西小学校の校舎・講堂・体育館・運動場が当時の姿のまま残されています。各教室の利用ができるほか、講堂では設置されているピアノの演奏、体育館ではバスケットボールやボルタリングなどのスポーツが楽しめます。季節に応じてあまごのつかみ取りや川の渓流を下るキャニオニング体験など、清流の流れる天川村ならではの体験ができるのも魅力的です。また、五代友厚、円空、大峯高野街道ゆかりの地であることから関連の展示も見られます。自然と歴史を同時に感じられる楽しい交流施設です。風通しがよく広々とした校舎はひと涼みの休憩にもぴったりなので、天川村を訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてくださいね。
問題2 |
次のうち纒向遺跡内に入っていない古墳は? 1.ホケノ山古墳 |
正解は、4の「ヒシアゲ古墳」。
「ヒシアゲ古墳」は平城宮跡の北方にある前方後円墳で、佐紀盾列(さきたてなみ)古墳群を構成している古墳の1つです。古墳群のなかの北東に位置する5世紀頃の築造で、磐之媛命陵(いわのひめのみことりょう)とも呼ばれる陵墓です。磐之媛命は仁徳天皇の皇后で、『古事記』『日本書紀』では嫉妬深い女性として伝わっています。夫の仁徳天皇が他の皇女を宮中に入れたことに激しく怒り、磐之媛命自ら宮中を離れたエピソードは有名です。天皇陵のため古墳のなかに入ることはできませんが、南面で特徴的な二重周濠を見ることができます。濠に咲く初夏のスイレンやカキツバタの花も美しく、古墳周辺は遊歩道が整備されているので散策にも最適ですよ。また、付近にあるウワナベ古墳、コナベ古墳もおすすめの古墳で、ウワナベ古墳は墳長260mと5世紀大和最大級の古墳です。それぞれの古墳で前方後円墳のくびれ部分がよく観察できるなど、古墳好きにはたまりませんよ。
選択肢1~3はいずれも纒向遺跡内にある古墳です。纒向遺跡は桜井市域の北部の広域にわたる遺跡で、初期ヤマト政権発祥の地、あるいは邪馬台国の候補地として知られています。東西約2㎞、南北約1.5㎞と弥生期遺跡のなかでも最大規模です。「ホケノ山古墳」は纒向古墳群の中央部に位置する前方後円墳で、後円部が3段築成になっており、纒向遺跡の前方後円墳のなかでは唯一葺石をもっています。「メクリ1号古墳」は纒向遺跡で現在まで発見されているなかでも数少ない前方後方墳で、周濠からは多数の出土物が確認されています。「箸中イヅカ古墳」は馬蹄(ばてい)形周濠をもつと考えられる前方後円墳で、全長100mを超えると想定されています。