おちょこ女子必見❤ 清酒発祥の地・奈良のお酒めぐり
更新日:2019年11月15日
実は、奈良県は、清酒と深い深~いご縁で結ばれた特別な場所なのをご存知でしたか?
たとえば、日本最古の神社のひとつで、パワースポットとして有名な桜井市の大神(おおみわ)神社では、酒の神・大物主大神(おおものぬしのかみ)をお祀りし、全国の酒造家の信仰を集めています。
また、古くから飲まれていた濁り酒(どぶろく)を布でこすなどして、澄んだお酒(清酒)をつくる基本的な技術がうまれたのは、奈良市の正暦寺。
現在も、大神(おおみわ)神社境内にあるササユリから採れた酵母菌でつくったお酒や、正暦寺で室町時代から続く菩提泉(ぼだいせん)という技法でつくったお酒など、県内の数多くの酒蔵で、特色ある奈良の地酒をつくりだしています。
そこで、"なら女子旅"第12回目は、お酒が大好きな"おちょこ女子"必見! の酒蔵見学をご案内。
ほかにも、酒粕を使ったケーキを買えるお店、利き酒ができる奈良酒専門店など、奈良市内のお酒にまつわるおすすめスポットをご紹介します。
目次
伝承の技と、おいしい地酒に感動❤ 「奈良豊澤酒造」
清酒発祥の地でお参り&紅葉狩り♪ 「正暦寺」
濃厚でしっとり…大人女子の酒粕スイーツ 「をかし東城」
奈良酒専門店で、至高の一杯に出会う 「なら泉勇齋」
伝承の技と、おいしい地酒に感動❤「奈良豊澤酒造(ならとよさわしゅぞう)」
奈良豊澤酒造は、代表銘柄の『豊祝(ほうしゅく)』(大吟醸)が平成30年度の「全国新酒鑑評会」で、2年連続・通算14回目の金賞を受賞するなど、奈良を代表する老舗酒造会社のひとつです。酒蔵を構えているのは、JR奈良駅から南へ2駅とアクセスしやすい、のどかなエリア。完全予約制ながら少人数でも見学が可能なのはうれしいですね。日本酒ビギナーから完全な"左党"まで、大満足の酒蔵見学ができますよ。
「でも老舗酒蔵というと……、ちょっとこわい職人さんがいたりするのでは??」と緊張する必要なはし!
今回案内してくださった、頭役(かしらやく)の樋上さんをはじめ、若手職人さんも多い活気あふれる雰囲気のなか、楽しく見学させてもらえます。
見学のスタートは、たくさんの酒造用米が山積みになった"洗米室"から。
11月から3月ごろの最盛期には、この部屋びっしりに米袋が積み上げられるのだそう!
お次は"蒸し"の工程へ。蒸し機から出てきた米は、外がかたくて中がやわらかい状態。このかたさにするのが重要で、やわらかいごはんのような状態では、その後の工程ですぐにどろどろに溶けてしまい、麹がじゅうぶんに働けないのだそう。なるほど~!
続いては、日本酒の味の要となる"麹づくり"。
麹菌が繁殖する成長段階にあわせた、最適な温度と湿度が管理できる専門の部屋(麹室)で、33度くらいに冷ました蒸し米に麹菌をぱらぱらとふりかけ、麹をつくります。
麹菌は菌類(カビの一種)なので、雑菌が入ったり、温度や湿度が変化したりするのは大敵! そのため、通常は部屋の外からの窓ごしで見学です。
麹室のなかは、もわ~んとした熱気が。それもそのはず、部屋のなかは約35℃と暑いので、3人の造り手さんたちは、汗だくになりながらも一生懸命に作業しています。
さらに、酒づくりの主役ともいえる、微生物の酵母を育てる"酒母(しゅぼ)づくり"を見学します。
仕込み水に米麹、蒸し米を入れ、純粋培養した酵母を加えたものを「酒母」といい、この工程のなかでできるのが「甘酒」です。
酒母室のなかは甘くて芳醇な香りが立ちこめていて、ついつい甘酒が飲みたくなります。
その後、いよいよ"仕込蔵(しこみくら)"へ。
冷蔵庫のなかのようにひんやりした、醪(もろみ)を約1カ月間かけて"発酵"させる部屋です。
醪というのは、お酒の発酵過程でうまれる、ドロドロとしたお粥状の液体のこと。
床下に埋めこまれた大きなタンクを上から覗きこむと、麹、酒母、蒸し米、水が一体となって発酵されていくようすが見られます。
醪が発酵の力で、もぞもぞと動くようすは、まるで生き物のよう!
さらに、発酵した醪をしぼる、"しぼり"の工程を見て、ひと通りの見学が終了します。
見学の最後には………、おまちかねの試飲タイム!!!
ぐい呑みにたっぷりと注がれていく豊澤酒造のお酒たち。
梅酒やゆず酒なども含めて、なんと6種類も味わえちゃいますよ❤
大吟醸や純米酒など、銘柄や種類による味わいの違いを楽しむ「飲み比べ」にぜひトライしてみてください♪
どれほどの手間と時間をかけて、できあがったのかを見てきたばかりなので、そのおいしさたるや格別です!!
お楽しみのお買い物も♪
蔵元でしか飲めないお酒「純米無濾過原酒」720ml1,200円など、直営店限定のお酒もありますよ。
おみやげにぜひチェックしてみてください。
これからの酒造りを担っていくであろう、若手社員のひとり山﨑千尋(ちひろ)さんに話を伺いました。
山﨑さんは大学進学を機に高知県から奈良県へ。在学中に奈良が大好きになり、奈良で働き続けられること、ゼロからもの作りをする会社であることに魅力を感じ、奈良豊澤酒造に就職を決めたのだそう。「豊澤酒造の酒造りを通して、奈良のすばらしさを皆さんに伝えていきたいです」とキラキラの笑顔で話してくれました♪
平成14年に、卓越した技術者を称える「現代の名工」に選ばれた先代杜氏、藤沢忠治氏。その藤沢杜氏の意志を引き継いだ、杜氏の雑賀幹雄(さいかみきお)さんも、洗米や麹造り、仕込み、しぼりなどすべての工程で機械化をできるだけ避けた、五感を頼りにする酒造りを続けているのだそう。「麹や酵母は生き物なので、常に状態が変わるんです。一切の妥協を許さずに丹念に世話をすれば、質の高いお酒ができあがる。それが杜氏としての醍醐味です」。
その話の通り、全ての工程を見て感じるのは、においや触感など感覚をたよりにした手作業が、かなりの部分で受け継がれているということ。人の技だからこそできる絶妙な塩梅、長年の経験に裏打ちされた伝承の技が、繊細で味わい深い、唯一無二のお酒を作り出していることに、あらためて感動すること間違いなしです。
<おすすめコース>
JR奈良駅または近鉄奈良駅
奈良交通(正暦寺行き臨時バス)で「正暦寺」下車、徒歩で約5分※JR奈良駅9時30分もしくは近鉄奈良駅9時37分発がベスト!
清酒発祥の地でお参り&紅葉狩り♪
「正暦寺(しょうりゃくじ)」
正暦寺は、正暦3(992)年創建。濁り酒(どぶろく)を布でこすなどをして、澄んだお酒(清酒)をつくる基本的な技術が生まれた、"清酒発祥の地"として知られています。室町時代には、仕込みを3回にわけて行う「三段仕込み」や、酒母の原型である「菩提泉(ぼだいせん)」など、近代醸造法の基礎となった酒造技術を確立。現在も、大正時代に一度途絶えてしまった「菩提泉」を復活させ、県内の8つの蔵元がその酒母「菩提酛(ぼだいもと)」を使って清酒を生産しているそうです。
清流と豊かな自然に恵まれた、酒造りに適した環境は、秋がくると、"錦の里"と称されるほどの見事な紅葉でも楽しませてくれます。とくに、風情たっぷりの福寿院庭園の眺めはため息がでるほどの美しさですよ。お酒に、紅葉に、酔いしれるひとときを過ごしてみては?
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奈良交通(臨時バス)でJR奈良駅下車。JR奈良駅から万葉まほろば線で帯解(おびとけ)駅下車、徒歩で約10分
※正暦寺11:05発(11/25~12/1は11:45発)、JR奈良駅12:37発がベスト!
「奈良豊澤酒造」で酒造見学&直売所でお買い物を楽しもう!
豊澤酒造は、「全国新酒鑑評会」で通算14回の金賞を受賞した『豊祝(ほうしゅく)』(大吟醸)や、すっきり辛口の『無上盃(むじょうはい)』(純米吟醸)などを生産する、老舗の酒造会社です。必要以上に機械化をせず、ほぼすべての工程を手作業で行っていて、そんな昔ながらの手法でつくられたお酒が多くの人から愛されています。
13:00からの体験に参加して、見学、試飲、お買い物を終えるまでの所要時間はだいたい約2時間ぐらい。
参加した女子も、「日本酒で漬けた梅酒があってびっくり!すっきり爽やかな口あたりで、試飲なのに、ついつい飲みすぎちゃった♪」とニッコリしていましたよ♪
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JR帯解駅から万葉まほろば線でJR奈良駅下車
※JR帯解駅15:30発がベスト!
濃厚でしっとり…大人女子の酒粕スイーツ「をかし東城(とうじょう)」
ならまちをぶらぶらしつつ、次に向かいたいのが、地元で評判のパティスリー「をかし東城」。奈良の地酒のひとつ「春鹿」の酒粕を絶妙にブレンドして、香り豊かに仕上げたケーキやマドレーヌは、1度食べたら忘れられないおいしさです❤
夕方には売り切れてしまうことも多いので、午前中に電話で予約をしておくのがベスト! ほかにも、季節のフルーツをふんだんに使ったケーキなどもあり、秋冬は奈良県産のイチゴ「古都華」を使ったショートケーキなどが登場予定。小さなイートインコーナーもあるので、ちょっとひとやすみしたいときにも、ぴったりですよ。
持ち帰りやすいのでお土産にも◎ ならまちマドレーヌ220円
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奈良酒専門店で、至高の一杯に出会う
「なら泉勇齋(いずみゆうさい)」
旅の最後を締めくくるのはこちら! 県内の28蔵で醸造された120種類以上の地酒を取り揃えて販売&前払い方式で試飲できる、オールスタンディングの奈良酒専門店です。ここまでのラインナップはなかなか見られません!なかでもぜひ味わいたいのが、『菊司』など奈良ならではの製法「菩提酛造り」でつくられた地酒。品数がたくさんあって迷う人は、店長の山中さんに好みの味を伝えてチョイスしてもらうのもGOOD!
山中さんの奈良酒愛あふれる話を聞きながら、おつまみ片手に夕食前の一杯はいかが? 新たな奈良の地酒の魅力を知る楽しい時間が始まりそうですね。
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<奈良豊澤酒造 DATA>
TEL | 0742-61-7636 |
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住所 | 奈良市今市町405 |
アクセス | JR帯解駅から徒歩約10分、またはJR奈良駅・近鉄奈良駅から奈良交通バスで「上三橋」下車、徒歩約5分 |
酒蔵見学 | 10名以下の場合、火曜または金曜の10:00~、10:30~、13:00~で約2時間見学 ※10月下旬~3月まで見学可能。12月、1月は繁忙期のため見学不可。 【予約】1週間から10日前までに要予約 【定員】~40名 【料金】500円 |
駐車場 | なし(お酒を味わっていただくため、公共交通機関をご利用ください) |
<正暦寺 DATA>
TEL | 0742-62-9569 |
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住所 | 奈良市菩提山町157 |
アクセス | 11月9日~12月1日のみJRまたは近鉄奈良駅から臨時バスあり。それ以外は車またはJR帯解駅から徒歩約1時間30分 |
拝観時間 | 9:00~17:00(12月~2月は~16:00) |
料金 | 福寿院客殿500円 |
駐車場 | 約80台(無料。ただし11月初旬~12月初旬は500円) |
<をかし東城 DATA>
TEL | 0742-26-5567 |
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住所 | 奈良市中院町20 |
アクセス | JR奈良駅または近鉄奈良駅から徒歩約15分 |
営業時間 | 10:00~20:00(売り切れ次第終了) |
定休日 | 水曜 |
駐車場 | なし |
<なら泉勇齋 DATA>
TEL | 0742-26-6078 |
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住所 | 奈良市西寺林町22 |
アクセス | 近鉄奈良駅から徒歩約10分またはJR奈良駅から徒歩約15分 |
営業時間 | 11:00~20:00 |
定休日 | 木曜(祝日は営業) |
駐車場 | なし |
※掲載している料金及び公共交通機関のダイヤは、すべて取材時(2019年11月)のものです。