vol.11 JR櫟本駅
掲載日:2015年4月9日
明治時代の現役木造駅舎
奈良県内を走り、奈良市と大和高田市を結ぶJR桜井線は、通称〝万葉まほろば線〟の名前で親しまれています。「山の辺の道」に添うように走る路線は、本数は少ないながら名所旧跡を訪ねるのに便利で、奈良の列車の旅を味わうことができる素朴なローカル線です。奈良駅から乗車すれば、「京終(きょうばて)」「帯解(おびとけ)」「巻向(まきむく)」「三輪」「畝傍(うねび)」など、歴史薫る名称をもつ駅舎に次々と停車していきます。
この桜井線で、奈良を出て3番目に停車するのが「櫟本(いちのもと)」の駅です。瓦屋根の木造の駅舎は、ところどころリフォームしてはいるものの明治時代の開業当時のまま。風雨に耐えてきた外壁の木目が歴史を物語ります。ホームやトンネルに残るレンガ積み、跨線橋など、見どころはたくさん。駅舎好きの鉄道ファンには垂涎の場所です。駅から東にのびる道沿いには、かつての櫟本の集落の佇まいも楽しむことができます。
チェックポイント!
「建物財産票」は語る
明治31年開業当時の木造駅舎
駅舎の建造年代は、建物の随所に残る「建物財産票」を見ると明らかです。櫟本駅には駅舎の入口ほか数カ所に明治31年と記された建物財産票が残されています。これは建造時の施設に付けられた〝名札〟。古い駅舎探訪時の重要なチェックポイントです。
現役ホームに眠るレンガ遺構
駅北のレンガ積みと跨線橋
駅のホームの石積みの下にはレンガ積み遺構が見られます。これは明治時代の開業当時のホームです。また駅の北側の、線路をくぐる道路の壁にも重厚なレンガ積みが残されています。古レールを利用した跨線橋の外観・内観にも歴史の重さが感じられます。
「馬つなぎ」を残す旧街道
古民家も残る櫟本周辺を歩く
南北を走る上街道に面して栄えた櫟本駅周辺は、かつては「馬出し」と呼ばれ、市場として賑わいました。駅から東へのびる古街道には往時の面影を残す民家もあり、うち1軒の軒先には今から約100年前の、馬をつないだ「馬つなぎ」も残されています。
JR櫟本駅 DATA
住所 | 天理市櫟本町 |
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アクセス | JR桜井線 |
建造年 | 明治31年(1898) |
一般公開 | 自由 |
入館料 | 改札内は要入場料 |
問い合わせ | (無人駅) |