田原本町
掲載日:2008年1月1日
この地に立てばだれもが一度はふりあおぐ広い空、360度ぐるりとひらけた平らな土地―。磯城郡田原本町は、ここがまさに奈良盆地の中心地であることを実感させてくれる町。弥生時代には大集落が栄え、中世には「大和の大坂」と称されるほどの商業が栄えた田原本に、古代史と祭りのにぎわいを訪ねて―。
田原本支店のオススメ!
町中で楽しめる史跡めぐりと四季を彩る伝統行事
国道24号の西、近鉄橿原線田原本駅のすぐ北にある南都銀行田原本支店。周辺は材木町や茶町、魚町など昔からの町名が残り、東西南北に細い道が行き交う古い町並みを残しています。車を離れて、ゆっくりと昭和の雰囲気を残す町並みを楽しむのもいいものです。
そんな田原本支店の1番のオススメは、田原本駅から2kmほど北上したところにある弥生時代の環濠集落、唐古・鍵(からこ・かぎ)遺跡です。ここには渦を巻いた屋根飾りのある楼閣が復元されていますが、実は唐古・鍵遺跡は、いまだにごく一部しか調査の手がつけられていない、非常に大きい遺跡です。発見された遺物は、弥生時代の生活の息吹が伝わってくるようなものばかりで、「唐古・鍵考古学ミュージアム」に展示されています。ボランティアガイドの説明もわかりやすいので、遺跡のことをよく知りたい方にはぜひとも訪れてほしいスポットです。
次にオススメするのは、田原本にいまも残る伝統行事の数々です。田原本にはユニークな祭りがたくさん伝わっています。ユーモラスな動作を交え、一年の豊作を願う2月の「御田植祭(おたうえまつり)」、わらで作られた10数mもの蛇をもって子どもたちが集落を練り歩く6月の「蛇巻き(じゃまき)」、そして奈良県中部を代表する盛大な夏祭りは7月の祇園祭。いずれも見ごたえのあるものばかりで、地元はもとより、大勢の観光客で賑わいます。
最後にオススメするのは、田原本の古代の道めぐり。田原本は碁盤の目のように区画された古代の条里制の跡がとてもよくわかる地域です。空から見れば一目瞭然、先ほど紹介した唐古・鍵ミュージアムには、大きな航空写真が展示されており、田原本の今の土地割りが古代の区画の上に成り立っていることがよくわかります。また田原本には、町のほぼ中央を通る下ツ道、東端を通る中ツ道、町を唯一斜めに横切る太子道と、古代の幹線路も残っています。碁盤の目にそって点在する史跡を訪ねつつ、古代の道を歩けば、気分はもう万葉びとです。
ほかにも能楽に関係のある地名が随所に残るなど、田原本の広い空の下には、知られざる歴史や伝統がいまも息づいています。また大和川沿いの公園にある展望台からの眺めも最高です。昼は唐古・鍵遺跡の楼閣が遠くに見えますし、二上山に沈む夕景も絶景ですよ。大和平野のど真ん中、「国中(くんなか)」の地・田原本に、ぜひ足を運んでみてください。