新庄
掲載日:2009年6月1日
奈良県の西部、葛城山の山裾に広がる葛城市。その南部は旧北葛城郡新庄町にあたり、高みから見渡せば、大きな古墳の森や、古代豪族の祖神を祀る神の杜が点在するのがわかります。葛城市新庄に、古代の息吹を訪ねます―。
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新庄支店のオススメ!
古墳と古代信仰の宝庫を訪ねて
南都銀行新庄支店は、近鉄御所線の大和新庄駅のすぐ西にあります。ここ葛城市新庄(旧新庄町)には、古墳や古社など、歴史の息吹を感じさせてくれるスポットがいくつも残っています。
はじめにオススメするのは屋敷山公園です。屋敷山公園は、緑豊かな公園と文化施設、スポーツ施設が一体となった総合公園です。春は見事なしだれ桜、夏は約3000発の花火、秋は紅葉と、四季折々に楽しむことができ、市民の憩いの場所として親しまれています。この公園がほかの公園と違うところ、それは園内に大きな古墳があることです。この地は古代豪族の葛城氏が治めた地で、周辺には大きな前方後円墳が点在し、現在の屋敷山公園の中央にあたる場所にも、全長約135mの屋敷山古墳が築かれています。屋敷山という名前は、中世から近世のはじめにこの地を支配した布施(ふせ)氏の居館(きょかん)として古墳が利用されたこと、また江戸時代には紀州から来た桑山氏の陣屋(新庄城)、武家屋敷が建てられたことに由来しています。そのため古墳は古代とはかなり姿を変えてはいますが、いまでも少し離れて見れば、前方後円墳の形がよくわかります。園内には噴水のある大きな池があり、鯉にえさをあげることもでき、家族連れでのんびり過ごすのにオススメです。
次にオススメするのは笛吹(ふえふき)神社です。正式には葛木坐火雷(かつらきにいますほのいかづち)神社といいますが、地元では笛吹神社として親しまれています。この社を祀った天香山命(あめのかぐやまのみこと)の子孫・笛吹連(ふえふきのむらじ)は、崇神(すじん)天皇から戦のほうびに天磐笛(あめのいわふえ)を賜り、以来、笛吹連と名乗ってこの社を守護してきました。笛吹の名前にあやかって、笛やフルート、尺八の上達を願う人がお参りされるほか、火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)を祀ることから、火を扱う職業や消防関係の方々からも崇敬を集めています。境内に入って真っ先に目に付くのは、大きな大砲です。日露戦争後の明治42年6月に政府から奉納されたもので、第2次世界大戦時の鉄の供出をまぬがれて今に残っています。また、屋敷山公園と同じく、この神社の本殿の横にも円墳が造られています。神社と古墳とが一体となった形は珍しく、本殿の横から石室の入り口を覗くことができます。
最後にオススメするのは、葛城市歴史博物館です。館内には、葛城山麓にある遺跡からの出土品をはじめ、二塚古墳の石棺なども置かれ、コンパクトな展示ながらたくさんの歴史情報にあふれています。圧巻は入口の床に設置された縦6m、横3mの航空写真で見る葛城。葛城山の山裾から大和平野に向かって、横大路や竹内街道など古代の道がいまも伸びている様子や、数々の古代寺院や古墳が点在している様がよくわかります。写真の上に立って全体を見渡せば、葛城の里の中に飛び込んだような感覚を味わうこともできるでしょう。
いまも葛城山一帯を静かにわたる古代からの風。深い山、村の中のこんもりとした森や林に、古代人の面影を見ることができる町、葛城市新庄。ゆっくりと古代の里を歩いてみませんか。